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「街のでんき屋さん」が挑戦する高齢のお客様に向けた具体的サービス

具体的な高齢者サービス

2023.6月現在、お店のお客様の7割は65歳以上のお客様です。
確実に高齢化するお客様に安心して当店を利用してもらうために、何かできることはないか考えた具体的なサービスをまとめました。

この記事でわかること

・高齢者に向けた具体的サービスと実際のお客様の声
・その後の変化とこれからの計画

実践している具体的サービス「お店と行政の連携」

認知症サポーター

公式サイトはこちらから⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089508.html

認知症サポーターの登録には2時間の講習が必要です。
高齢者の困りごとや心配は、普通にはわかりません。
ご高齢の方の基本的な知識として知る必要があると考え登録しました。

名古屋市緑区「認知症の方にやさしいお店」登録

公式サイトはこちらから⇒http://midori-ho.jp/omise1.html

お客様の安心感の為に登録しました。

全国的には「認知症サポーターのいるお店」という名称が多いようです。

それまでの経緯

発想に至った経緯
・在宅包括支援センターの存在を知っていた。
・ケアマネージャーや高齢者訪問サービスなどの仕組みを知っていた。
・認知症サポーターになっていた。
・在宅でケアマネージャーをやっている友人がいる。

こういった知識的な土台があって考えることができたように思います。

きっかけ

お店の電話番をしていると、たびたび「同じことを何度も繰り返し話す人」「お店に関係のない話を熱心にする人」が電話してくることがありました。
施設で働いていたこともあり「あれ?」と思うことがありました。
主人に話すと「長くお付き合いのあるお客様で高齢であること」「歳をとって、忘れっぽくなっている人もいる」と教えてくれました。

かるび

「ごめんね。何度も聞いちゃって」「お仕事の邪魔してるね。ごめんね」と
言われる高齢のお客様が多いので、気にしないで当店を利用して欲しいと思いました。

きっかけ1

高齢のお客様に安心してお店を使ってもらうには、どうしたらいいだろう?

と考えたことがきっかけの1つです。

ある時、長くお付き合いのあるお客様のご自宅に営業で訪問したところ、高齢ですがご夫婦だけで生活している(=高齢者世帯)様子でした。
旦那様はソファに腰かけ穏やかに塗り絵を楽しまれ、一言も言葉を話す様子はありません。
奥様はチャキチャキして、元気に話をされていました。
奥様とだけ話すのは失礼だろうと、旦那様に話しかけたところ

高齢のご夫婦

奥様「この人認知症になっちゃって上手く話せないの、ごめんなさいね」

驚きはしたものの、介護保険サービスを利用してご自宅で生活しているのだと勝手に思いながら話を続けました。
ところが「介護保険は使っていない」「知らない人に(ヘルパー)来られると嫌なのよ」と行政は利用したくないと話されていました。
※「行政を利用したくない」と考えているご高齢の方は多いです。主には、自分の力で自立した生活を続けていくという気持ちの表れの方が多いです。

この日は心配になりながらも、一通り話したあと帰宅しました。

帰宅後も、気になりあれこれ考えていたのですが
・私は、施設に入っていない高齢者は全員介護保険を利用して生活していると勝手に思い込んでいました。
・高齢者の家族を、高齢者の家族がお世話をする「老々介護状態」に不安を覚える。
・ご夫婦ともに大丈夫だろうか?

施設で働いているときに、老々介護で疲れ果てたご家族をたくさん見てきた経緯もあって、その後も心配で何かと様子を見に訪問しました。

きっかけ2

高齢者だけで生活する世帯の存在(お客様)

心配だけでなく、具体的に対応できる方法がないかと考えたことが2つ目のきっかけでした。

提案

認知症の旦那様のいらっしゃるお宅へ何度かの訪問時、奥様から「ひとりで見られるところまで見る」「多分、(主人は)お風呂は自分で体を洗えてない」など、一人で旦那様をケアする中での不安や大変なことの話も聞くことができました。

ただ、そんな中気づいたこともありました。

かるび

介護福祉士だけど、私ができることがない。。。

高齢者ケアは、軽々しく個人の気分でできるものではありません。
時々、私のペースでお邪魔してお世話をするのは、長い目で見るとケアではなくおせっかいです。
そして、それは無責任でもあります。
なにかあった時に、責任をとれる立場ではないからです。

それでも心配であることは変わりません。

具体的な提案

在宅支援センターに相談してみてはどうだろうか?

高齢のご夫婦

ありがとうね。
実は昔、介護認定を受けようと支援センターには行ったことがあるの。
でも、来てもらっただけで、その後何の連絡もなくて、あんまり気が進まないの。

私は、介護福祉士の資格を持っていて知識があったので提案しました。
この先何かあった時、行政の力が必要になるときがあると思います。
その何かの時に、支援センターとつながっているとすぐに対応してもらえます。
そして、私はお客様の生活や困っていることに寄り添いたいと考えています。
でも、私一人ではお役に立てません。
もしよかったら、私が一度在宅支援センターに話に行きたいのですが、ダメでしょうか?

かるび

1回のやり取りではなく、何度かの訪問やお話を続けた上で了承してくださいました。
そのやり取りの間に旦那様が体調を崩された(風邪)為、支援センターとつながりを持っておいた方が良いかもしれないと奥様が感じたそうです。

初めての在宅支援センター訪問

本来は、高齢者ご本人の許可が無くても、身内やご近所の高齢者に関して、生活に不安や問題があった場合在宅支援センターへの相談が可能です。
ですが、私は個人の立場の相談ではなく「お店の従業員」としての立場での相談であったことから、お客様からの信用を失うわけにはいかなかったので、お客様から許可をいただき在宅支援センターを訪問しました。

支援センターの人と話したこと

・緑区ででんき屋を営んでいて、高齢のお客様の相談にきたこと。
・お客様には、支援センターに相談にいくことは許可をもらってきたこと。

かるび

認知症の旦那様をケアしながら生活する奥様がいます。
お二人とも80歳近い高齢のご夫婦で、介護保険をサービスの利用もしておられません。
奥様が倒れてしまわないか心配です。

1度、支援センターには足を運ばれたそうですが、認定を受けただけでその後は自然消滅のようになってしまったそうです。
不安を抱きながらも行政の利用には抵抗感があり今にいたります。

お店も含め、何かできるサポートはありますか?

ご相談ありがとうございます。

実際に、高齢者に「やって欲しいこと」「具体的に望まれる支援」がわからないと、支援センターができることが少ないのは事実です。

ですが、ご高齢の方の在宅を守るには地域の支援は重要なことなので、こういった形で相談に来てくださることは、とても重要なことだと思います。

あとは、行政を利用したくないと思っているご高齢の方は多いです。
支援センターでも理解しています。

支援センター スタッフさん

【支援センターが提案してくれた対応】
・高齢者が望めばいつでも訪問して話を聞く準備があることを、高齢者自身が知っておいて欲しい⇒お客様に伝達予定。
・お店側でできることとして、認知症サポーターという制度があります⇒登録予定(2023.7現在登録済み)
・特別にやってもやらなくても支援センターはいつでも相談にのるが「認知症サポーターのいるお店」として、行政とお店で連携して高齢者をサポートする仕組みがある。⇒登録予定(2023.7現在登録済み)

かるび

今は何かできることが無くても、こうやって具体的に相談できて、解決できる手段を得られることはとても心強いです。
お店のお客様はご高齢の方が多いため、今後必要になってくると思いますので、高齢のお客様とお店にとってメリットになる仕組みは利用しようと思います。

支援センターも、介護保険を利用していないご高齢の方とつながる可能性が増えることは大切なことだと考えています。
今後もよろしくお願いします。

支援センター スタッフさん

実際の効果とお客様の声

実際の効果

①高齢のお客様の心配をするだけでなく、高齢者ゆえの困りごとの解決の手段を手に入れることができた。

②お店のサービスの主軸ではありませんので大々的にアピールはしませんが、それでも少しずつ活動を知ったお客様からの相談があります。

③支援センターにお店を覚えていただきました。

お客様の声

高齢のご夫婦

熱心にありがとう。
支援センターに来てもらうときは一緒にいてくれて助かりました。

支援センターは今後の在宅生活の支援の一つにでんき屋も含めて考えてくれました。
初めてのお客様訪問の時は、うちにも連絡をくださり一緒に立ち合いを行いました。

高齢女性のお客様

何回も同じこと聞いてごめんね。
でも、勉強してくれてるみたいだから安心。

支援センターに相談しなくてもいい場合でも、高齢者をサポートする姿勢がわかりやすいと、お客様は安心できます。

まとめ

少しわかりにくいニュアンスかもしれませんが、これはボランティアではありません。

お客様サービスの向上のお話です。
でんき屋さんをはじめ、多くの小売店は自然と活動している「サービス(無料奉仕)」があると思います。
特別に新しいサービスとして立ち上げるのではなく、今までわかりにくいサービスをわかりやすくした試みとも言えます。
ボランティアではないので、すべての高齢者にサービスをして回るのではありません。
お店の業務内で、許される範囲の時間と場所でサービスを行うことが本来の目的を失わず活動していけると考えています。

一つ変わることとしては
今まで「大丈夫?」「心配だな…」の感情的な部分でとどまらず、具体的に対応できることです。
※行政への相談。

それでも、地域のお客様で成り立つお店です。
ボランティアでもない、お店の利益重視でもない、地域への貢献につながっていくと良いなと思いながら今日もお店でお客様を待っています。

これからの予定

・名古屋市高齢者の見守り支援事業

公式サイトはこちらから⇒https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000062824.html

・名古屋市はいかい高齢者おかえり事業

公式サイトはこちらから⇒https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000038313.html

※お店の状況で、できるのかどうかをしっかり見極めて登録予定としています。

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